掲示板

1. 入学式 式辞 (4月8日)

投稿日時: 2022/04/08 サイト管理者

   式 辞

 鳥の歌が聞こえ、桜の花が春風に舞う今日の佳き日、PTA会長 吉岡英明 様を御来賓としてお迎えし、保護者の皆様にも御臨席いただき、埼玉県立羽生高等学校 第五十二回 入学式を挙行できますことは、大きな慶びでございます。 ここにお集まりの皆様、また、この式の実現に尽力してくださったすべての方々に、心からの感謝を申し上げます。

 さて、先ほど呼名された七十七名に、入学を許可いたしました。新入生の皆さん、入学おめでとうございます。高等学校は、義務教育ではありません。皆さんの多くは、人生で初めて、自分の進路に関わる選択と決断を経験してこの学校に入学しました。それぞれの不安や迷いを乗り越えて、皆さんはここに座っています。胸を張ってください。これからは、羽生高校の生徒として一緒に学んでいきます。私たちは、皆さんを歓迎します。皆さんのこれからの努力を、応援します。

 そして、入学生の皆さんを育て、支えてこられた保護者の皆様、おめでとうございます。また、この場にはいない、今まで新入生たちを見守り、助け、応援してくださった方々にも、心よりお祝い申し上げます。

 創立七十五年目を迎える本校は、埼玉県の定時制教育のさきがけとして、多くの人材を社会に送り出してきました。卒業生は、高等学校での学びを踏まえて、あらゆる分野で活躍し、世の中を支えています。今、本校に在学中の先輩の中にも、つらい体験を乗り越えて、充実した高校生活を送っている人が大勢います。新入生の皆さんも、羽生高校での学びと高校生としての生活を、自分の成長のために生かしていってください。

 では、皆さんに、これから大切にしてもらいたいもの、守ってもらいたいものについて、三つお話をします。

 一つ目は、命、人の命です。皆さんも私も、大切な「命」を持っています。どんな人にも平等に、命は一つしか与えられていません。この最も大切な宝は、何があっても守らなければなりません。自分の命を大事にするということは、自分の人生を大切にして、自分を成長させるということです。自分の命をより良く使うということです。

 そして、他人の命も大事にしてください。誰かをいじめたり、誰かが頑張って成長しようとしているのを邪魔したり、何かに真剣に取り組んでいる人をからかったりするのは、他人の命を粗末にすることです。そんな人は自分自身のことも大切にできません。命の価値は平等ですから、自分の命も他人の命も大切にしてください。

 大切にしてもらいたい二つ目のものは、時間です。時間というものも、人間に平等に与えられた財産です。大事にしてください。授業でも、部活動でも、あなたが限られた高校生活の中で、そのとき取り組んでいること、目の前にあるやるべきことを大切にすることが、時間を大事にすることです。

 三つ目は、きまりです。きまりを大切にしてください。すべての「きまり」には理由があります。そのきまりを守ると、便利になったり得をしたりします。あるいは、その決まりを守ると、誰かを傷つけずに済んだり、自分が傷つかずに済んだりします。若い頃には、決まりを破ることが格好良く見えてしまうことがあります。しかし、それは錯覚です。なぜ、その決まりがあるのか、理由を考えるようにしてください。

 もしも、その決まりがあるために、かえって不便な人や傷つく人を増やしてしまっているのなら、正しい手続きで決まりを変えましょう。決まりを破ったり壊したりする力ではなくて、誰かと協力してもっと良い決まりをつくる力、決まりを変える力を手に入れましょう。そんな力を養いましょう。

 命と、時間と、決まりを大切にしてください。これが、守ってほしい三つのことです。

  さて、保護者の皆様、入学生の皆さん。本校は「友愛」「自立」「飛翔」という三つの言葉を校訓として、単位制という、一人ひとりの希望や生活リズムに合わせることのできる柔軟な教育システムをとっています。しかし、このシステムは、大きな自由がある反面、大きな責任を自分で負わなければならないものでもあります。卒業するためには自分自身をしっかり管理できることが必要になります。

 保護者の皆様、どうか、本校の教育方針について御理解いただき、学校と連携しながら、お子様の健やかな成長と卒業を実現するための支援をしていただきたいと存じます。我々教職員も全力で生徒の皆さんの努力を支援いたします。

 最後に、入学生の皆さん、どうか、保護者の皆様をはじめ、皆さんが高校で学ぶことができるように道を拓いてくれた人達に感謝してください。そして、今度は皆さんが、どんな小さなことでも良いですから、誰かのために道を拓いてあげられるような力を、この羽生高校で身につけて卒業してください。皆さんが実りある高校生活を送り、大きく成長することを祈念し、式辞といたします。

  令和四年四月八日

                            埼玉県立羽生高等学校長 新井 康之