令和3年度 校長あいさつ

 

 

   トライ(TRY)」 

   そして、「シンカ(進化・深化・真価)」

     ~単位制で見つけよう 新しい自分~

 

 

皆さん、こんにちは。新しく羽生高校校長として着任した新井でございます。

本日は、ようこそ羽生高校のHPへお越しくださいました。

 

本校は、昭和23年の戦後の混乱期に、関係者の教育に寄せる熱い情熱と生徒の学びに向かう意欲・力を結集して設置されました。埼玉県立不動岡高等学校羽生分校をその前身としており、今年度、創立73年目を迎えた歴史と伝統ある単位制による昼夜開講二部制の定時制高校です。

 

目指す学校像を「主体的に学ぶ力と豊かな人間性を育成し、地域に開かれた学校づくりを推進する」としています。

本校で学ぶ生徒は、校訓である「友愛 自立 飛翔」を日々実践しながら、「単位制」という一人一人の希望や生活リズムに合わせた教育システムを生かし、夢に向かって果敢にチャレンジしています。

また、「人生100年時代」を見据え、地域の生涯学習機関として、特別講座や学校公開講座を開講し、地域の皆様にも積極的にご参加いただいております。

 

本校での「学び」が一人一人の可能性を磨き上げ、個性となって光り輝くよう、また、生涯にわたる「学び」の礎を築くことができるよう、生徒の学びを深化させるとともに、人も学校も進化することを目指し、また、変化にしなやかに対応できる教育の真価を見いだすべく、教職員一丸となって教育活動に取り組んでまいります。

 

是非、羽生高校で「学び」への「トライ」を重ね、新しい自分を見つけてください。

 

 

                           令和3年4月

                           校長 新井 康之

 

 

 

 

 

 

 

掲示板

校長講話等

令和2年度終業式(3月22日)校長講話 ー夢をかなえる秘訣ー

 皆さん、おはようございます。

 3月12日は卒業式でした。緊急事態宣言下でしたので、在校生の皆さんに参列してもらえなかったのは残念でしたが、代表して生徒会長が心のこもった送辞を述べてくれました。卒業生は立派な態度で式に臨み、堂々と卒業していきました。皆さんにも是非先輩達に続いてほしいと願っています。

 17日には4月から皆さんの後輩となる入学許可候補者の説明会がありました。こちらは、まだどことなく中学生の面影を残し、初々しい様子でした。生徒の皆さんが高校生活をとおして大人になることを改めて実感した二つの行事でした。

 そして、皆さんは高校生として、それぞれ道の途中にあるわけですが、大丈夫、感染症にも自分にも負けず学校に通い続けることができた皆さんも、この一年間で一人ひとりがしっかり成長しています。

 

 さて、今年度最後の終業式の今日は新年度に向けて「夢をかなえる秘訣」に関する話をします。

 

 「夢の国」と言ったらどこですか。そう、ディズニーランドです。ミッキーマウスの生みの親であり、夢の国をつくることを実現したその人、ウォルト・ディズニーの名前も聞いたことがあるでしょう。彼は今から100年以上前、1901年に両親の間に四番目の男の子として生まれました。仕事の失敗続きだった父親は子供たちにつらく当たり、三人の兄は家出、ウォルトも小学生時代毎朝3時半起きで新聞配達をしていたこともよく知られています。しかし、子どもの頃から友達が笑ってくれる漫画を描くのが大好きだったウォルトは、夢を持つことの力を信じ、夢に関する言葉も多く残しています。

 

   夢をかなえる秘訣は、4つの「C」に集約される。それは、「好奇心」「自信」「勇気」そして

   「継続」である。

 

 ここで言う「C」はそれぞれの言葉の英語の頭文字のことです。英語は後で調べてみてください。

 

 なるほどと思います。好奇心をもって始めたことは、面白いので誰でも夢中になって取り組みます。すると自然に上達し、結果が出るとますます面白くなっていく。没頭して取り組むうちにできる自分に自信がついてきて、さらにモチベーション高く取り組む好循環が生まれます。

 これがずっとうまく回ってくれればいいのでしょうが、なかなかそうはいきません。伸び悩んだり、結果がついてこなかったりということは皆さんにも経験があるだろうと思います。後から振り返れば、上達して次のステージに上ろうとしている時だった、あれは試練の時だった、ということが多いのですが、壁にぶつかると、できない自分がいるわけですから、どうしても自信も失いがちです。

 すると、自分には向いてなかったとか、他にやりたいことがあるとか諦める理由を見つけ始めてしまったりもします。自信がないと次の挑戦をするには非常に勇気がいるので逃げ出したくなるのですね。

 ここが大きな分かれ道です。自信を失ってわずかばかりになった勇気に火をともして自分自身を再び燃え立たせることができるか否か。覚悟が問われます。

 それでもなんとか乗り越えた、うまくいくようになったと思ったら、また一段高いところの問題にぶつかって、の繰り返し。夢を実現するには相当なエネルギーが必要です。

 それでも、挑戦しては乗り越えるサイクルを回しながら、継続して取り組んでいると、気づけばいつの間にか遠く高いところまでたどり着いている。夢がかない成長した自分に出会えます。

 

 高校生活も同じだろうと思います。

 小学生に始まった皆さんの学校生活は順風満帆ではなかったかもしれません。それでも、この羽生高校で学び直し、新しい自分に出会えることを思い描いて入学した皆さんです。時に弱気が顔を出しても自分に負けるな!どうしても苦しいときは自分の殻に逃げ込まず、先生や友達、家族、誰でもいいから助けを求めることも忘れないでください。エネルギーを補給して、また勇気を奮い立たせましょう。

 

 ウォルト・ディズニーはこんな言葉も残しています。

 

   過去の出来事に傷つけられることもあるだろう。でも私が思うに、そこから逃げ出すことも出来

   るが、そこから学ぶことも出来る。

 

 新しい年度に向かう春休みは、これまでのことをいい意味でリセットし、これからのことを考えるいい機会です。新年度も積極的にトライできるよう、こころと体をしっかり整えて春休みを過ごしてください。春です。新しいスタートです。笑顔でがんばりましょう。

 

第51回卒業証書授与式 式辞 ー学びのその先へー

 春です。

 卒業生の皆さん、卒業おめでとう。

 この日まで、お子様を育て、支えてこられた保護者の皆様にも心からのお祝いと敬意を表します。35名の卒業生は、幾多の葛藤を乗り越えて、強さと優しさを身につけ、巣立ちの時を迎えました。  

 

 高校生活を終えて皆さんの胸にはどんな思いが湧いてくるのでしょう。

    特に、最終年度となった今年度は、予期せぬ新型感染症との闘いに明け暮れることになりました。臨時休業に始まり、高校生活を彩る学校行事も残念ながら思い描いたとおりにはいきませんでした。しかし、皆さんは立派だった。

 

 9月、修学旅行中止の決断を三年生の皆さんに伝えた日、一人ひとりの真剣な眼差しは、忘れることができません。あの日、皆さんはどれだけの感情と言葉をのみ込んで静かに受け止めてくれたのでしょう。

 10月、多くの制約がある中で、考え、行動し、後輩たちをリードして途絶えさせることなく第五十二回勾玉祭をやり遂げた皆さん。創立以来、本校生に受け継がれた、困難に屈しない羽高魂、伝統の力を皆さんが見事に体現してくれました。

 11月、翔羽祭ではじけた笑顔は爽やかで本当に楽しい一日でした。選手の活躍もさることながら、あの日の立役者は、走り回って運営を助けてくれた四年生でした。夜間部の球技大会の後、全員で跳んだ縄跳びは、夜間部生徒の団結を一層堅固なものにしました。

 

 本日、勾玉祭のモザイクアートをこの式場に置きました。保護者の皆様、見てやってください。モザイクの一つ一つは全校生徒一人ひとりが撮影した写真です。違う個性をもつ一人ひとりの心が動いた瞬間を切り取った写真から、新たにこのモザイクアートが完成しました。

 

 昨日、3月11日、未曾有の被害をもたらした東日本大震災から十年を数えました。それ以降もこの国に生きる私たちは、地震や台風による水害など次々に襲いかかる困難や深い悲しみ、苦しみに直面することになりました。そして今、世界中で新型コロナウイルスとの闘いが続いています。社会の変化のスピードは増すばかりで、世界には矛盾や葛藤が渦巻いています。予測困難な未来を担っていく皆さんは、今後も様々な課題に直面するでしょう。

 

 苦しいときには思い出してください。

 困難と思える状況の中で、どうしたいのか、何ができるのかを考え抜き、人々の幸せに向かって対話を重ね、互いの違いを乗り越えて、知恵と力を共有し、補い合うことができたなら、このモザイクアートのように新たな価値と希望を生み出すことができることを。

 

 さあ、飛翔の時です。学びのその先へ!ここでつかんだ学びの種をもって広い世界へ羽ばたこうとする皆さんが、やがて、未来の社会のそこここで希望の花を咲かせる人になることを期待します。

 

 感謝を忘れず、勇気と誇りをもって進んでください。皆さんの未来に幸あれと祈ります。卒業おめでとう。

 

                             令和3年3月12日

                           埼玉県立羽生高等学校長 鈴木 久代

 

冬季休業明け校長講話(1月7日)ー今を生ききるー

 明けましておめでとうございます。

 静かに年が明けました。昨年は新型感染症との闘いに明け暮れた一年でしたが、皆さんの協力のお陰で無事に年を越すことができました。今日もこうして、元気な顔を見ることができて嬉しく思います。しかし、本日、緊急事態宣言再発令の予定となっており、厳しい状況が続いています。学校は始業時刻の繰り下げや短縮授業を実施することとしましたが、皆さん一人一人の意識と行動が大事です。引き続き「健康観察、手洗い、マスクの着用、三密を避ける」ことを徹底し、感染防止に協力してください。

 さて、年の初めの全校集会にあたり、今日は、「今を生ききる」ということについて話をしたいと思います。

 感染症の拡大が続く中で、今はがまんの時といわれています。もちろん外出や会食などがまんが必要なことはあります。勾玉祭も模擬店などはできませんでした。修学旅行も遠足もできませんでした。しかし、がまんだけの毎日なのかと改めて考えてみると、こうした日々の中にも、心が動くこと、喜び、嬉しさや楽しさ、幸せはあると思うのです。そして、「今を生ききる」ことの大事さを改めて感じています。

 私は、運転中ラジオを聞くのが好きです。昨日は出勤途中のラジオから、洋画家 野見山 暁治 さんの100歳記念の個展が開催されるという話が流れてきて心をつかまれました。100歳にして現役、100歳ですから関東大震災以前に生まれ、太平洋戦争も経験したはずです。

 驚きながら耳を傾けてみると、中学時代の先生の影響で絵を描くことが好きになった野見山さんは、17歳で福岡から上京、入学した東京美術学校油絵科3年のときに太平洋戦争が始まったそうです。兵役のため22歳で繰り上げ卒業、陸軍へ入隊し、満州に送られたとのことでした。向こう側に銃口が見え、死を覚悟したと言います。しかし、肺の持病が悪化して、福岡の傷痍軍人療養所で終戦を迎えることになります。

 終戦から3年後、やっと東京へ戻ると、フランス政府の留学生募集の記事を偶然見つけます。セザンヌやゴッホの絵がどうしても見たくて試験を受けて合格し、31歳でパリに渡ります。一ヶ月の船旅で地中海に入り、明かりが遠目に見えたとき、涙がボロボロ出たと言います。美術学校の生徒でパリに行けた人は誰もいない。何人もの戦死者が出て、例外なくみんなパリに憧れて死んでいった。嬉し涙というよりは慚愧に堪えなかった。自分だけが幸福でいいのか。許してくれ、という思いだったそうです。

 12年間のパリ生活で西洋画制作に没頭するうち、不思議と東洋画に心が惹かれるようになり、1964年、東京オリンピックの年に帰国します。その後は、大学で指導に携わりながら精力的に絵の制作と執筆活動もするようになりました。また、1976年から戦没画学生の遺族をたどり、作品を集める活動に協力、これが長野県上田市の戦没画学生慰霊美術館「無言館」につながります。

 どんな絵を描く方なのか気になって、ネットでも調べてみました。すると、そこに現れたのはダイナミックで奔放、エネルギーに圧倒されるような絵でした。年齢を重ねるごとに迫力が増しているように感じます。野見山さんは言います。「限られた画面から広い宇宙観のようなものが出てくる、手品のような絵が描きたい」「自分の課題があるから描く。どうすればめざす表現に辿りつけるのか、毎日、毎日が実験です。だから絵にはこれでおしまいというのはありませんね」「描くことは生きること」「興味あることに食い下がれ」。描くことで、常に今を生ききる野見山さんの飽くなき探求心に驚かされます。

 感染症が拡大する中で、幸せな未来のために今はがまんということもあるかもしれません。でも、人生は一期一会。大切な自分の人生の今を生ききることで今ある幸せに気づくことができる。幸せは私たち一人一人、自分の中にあります。幸せはその人の心のありようだから……。皆さんは、何を自分の課題とし、クリアするためにどう行動しますか。今年も皆さんのトライに期待します。笑顔で頑張りましょう。

 

冬季休業前校長講話(12月25日)ー想像力を働かせて行動しようー

 皆さん、おはようございます。今日は朝一番の大掃除、ご苦労様でした。学校中がさっぱりして良い年を迎えられそうです。年末の大掃除は厄を払う意味もあると言いますから、是非、自分の家もきれいにして、良い年を迎えてほしいと思います。

 さて、年末を迎え、今年も新聞各紙に日本10大ニュースが掲載されました。1位はやはり「新型コロナの感染拡大、緊急事態宣言」、関連して流行語大賞も「3密」、今年の漢字も「密」と、新型感染症に関するもの一色の感がありますが、中には、明るいニュースもありました。「藤井聡太七段の最年少タイトル」や「『鬼滅の刃 無限列車編』の興行収入最速100億円」などです。映画は皆さんの中にも観に行った人がいるのではないでしょうか?

 感染症の拡大は、皆さんの学校生活にも影響を与えることになりましたが、皆さん一人一人にはどんな一年だったでしょう?臨時休業をはじめ行事の中止や縮小など残念なこともありましたが、昨日までの球技大会には楽しく参加できましたか?制約がある厳しい状況ではありましたが、工夫してできたこと、努力したこと、楽しかったことに目を向けて、皆さん一人一人が、頑張った自分、成長した自分を、自分で認めてあげられるところがあれば嬉しく思います。

 感染が拡大している中で冬休みを迎えるにあたり、今日は、私自身の情けない体験を踏まえ、「想像力を働かせて行動しよう」ということについて話をしたいと思います。

 それは、会議があって出張した11月のある金曜日、夕方のことです。駅の構内は帰りを急ぐ人たちで混雑していました。第3波と言われ、感染が拡大してきたこともありましたので、私も少しでも早く電車に乗りたいと思い、周囲の人の流れに乗って足早に乗換駅の改札を抜けようとしたときでした。オレンジ色のマスクをつけた方が緊迫した様子で辺りを見回している姿が目に飛び込んできました。「何かお困りですか?」と声をかけながら近づいてみると、その方の足元にうずくまっている人の姿があります。オレンジのマスクの方が「駅員さんに知らせないと」とおっしゃるので、はじめて利用する駅に不案内な私は、具合の悪い方に付き添う役割を引き受け、オレンジのマスクの方が駅員さんを呼びに行ってくれました。「大丈夫ですか」と声をかけると、あげられた顔は、血の気がなく、まさに顔面蒼白でした。私もしゃがんで励ましながら、しばらくすると、オレンジのマスクの方が駅員さんと戻ってきてくれました。駅員さんに後の対応をお願いし、オレンジのマスクの方と「ありがとうございました」と声を掛け合い、また帰りを急ぐ人の波に乗りました。たったこれだけのことです。

 白状します。ほっとして、しばらくすると、電車の中で私は言いようのない不安に襲われたのです。「もしかして、うずくまっていた人が感染者だったらどうしよう」「電車に乗ってしまったけれど、感染を拡大することにならないだろうか」「週明け、学校に行けるだろうか」「高齢の母と暮らしているけれど大丈夫だろうか」……と同時に、恐怖や不安とも闘いながら昼夜を問わず懸命に働いてくださっている医療従事者の方々の姿がまざまざと頭の中に立ち上がったのです。

 12月21日に医師会から医療緊急事態宣言が出されました。22日、看護協会からも、看護師等の離職があった病院が15.4%に上ったとする調査結果が公表されました。感染症の指定病院や受け入れ協力医療機関に絞ると、20%を超える離職があったそうです。看護師へのアンケートには、「家族や親族が心ない言葉を言われた」「保育園に来ないでくださいと言われた」「我が子に『お母さんの病院にはコロナがいるの』と聞かれた」「美容院の予約を断られた」などの回答があったそうです。皆さんは、どう思いますか?

 学校は冬休みに入りますが、皆さん想像してみてください。誰かの命を守るために、感染の不安だけでなく偏見、差別とも闘いながら懸命に働く方がいらっしゃることを。収束が見えない中で、まず私たちができることは、医師や看護師の方にこれ以上の負担をおかけすることがないよう、コロナに限らず病気や怪我をしないよう気をつけることだろうと思います。家庭にあっても、生活リズムを崩さず、感染防止対策を徹底し、想像力を働かせた行動をお願いします。新しい年を元気に迎えましょう。

 

第3回翔羽祭あいさつ(11月6日)

 おはようございます。

 先月行われた勾玉祭に続き、体育委員をはじめ皆さんの努力と協力によって、今年で3回目を迎える翔羽祭が無事に開催できることを嬉しく思います。

 ふりかえれば、長期にわたった臨時休業中は、外出自粛が求められる日々でもありました。その間、無性に体を動かしたい衝動にかられたことはなかったでしょうか。

 体を動かしたいと思うのは、人間の本源的な欲求であり、スポーツは、その欲求に応えるとともに、爽快感や達成感、仲間との連帯感など精神的な充足や楽しさ、喜びをもたらしてくれるものです。さらには、体力の向上や、精神的なストレスの発散など心身両面にわたる健康の保持増進に役立つものです。そして、スポーツは平和の象徴の一つでもあります。

 今日の翔羽祭では、応援も含め、一人一人がチームのために自分の役割を全力で果たそうとする責任感、自分のチームメンバーはもちろん、相手やルールを尊重するフェアプレイの精神を大いに発揮して、素晴らしいチームワークを見せてくれるものと期待しています。

 全集中で思い切りとびはねて、みんなで最高の一日にしましょう。

第52回勾玉祭あいさつ(10月15日)

 おはようございます。

 生徒会役員の皆さんを中心に準備を進めてきた第52回勾玉祭もいよいよ本番となりました。開催が危ぶまれたこともありましたが、こうして今年も本校の文化祭が開催できることを嬉しく思います。

 文化というのは、そこに集う人々が築き上げてきた有形・無形の成果の総体であります。とするならば、時間の流れの中で少しずつ形を変えていくのは自然なこととも言えるでしょう。今、コロナ禍にありますが、ここで青春を生きている皆さんが例年どおりの文化祭ができないと嘆くのではなく、困難な状況を跳ね返し、自分たちで創り上げようとするものがある、そのエネルギーこそが本校生に脈々と受け継がれてきた誇るべき伝統、財産であり、羽生高校の文化であろうと思います。

 今年の勾玉祭は、「P-1グランプリ」と題して、写真展が行われます。ところで、私たちが写真に収めようと思うのは、どんな時でしょうか。それは、何かしら心が動いた時であり、私たちは、その大事な瞬間を切り取るような気持ちでシャッターを押すのではないでしょうか。……とするならば、みんなの感動の瞬間を持ち寄ってできあがったモザイクアートは、大きな希望を描き出すものと期待しています。

 また、今日は、スペシャルゲストにバリトン歌手の原田勇雅さんをお招きして、「音楽世界旅行」をテーマに芸術鑑賞会も開催されます。原田さんの歌声に誘われ、みんなで素晴らしい旅に繰り出しましょう。

 では、文化の一日の始まりです。笑顔で感動を分かち合う一日にしましょう。

前期終業式校長講話(9月30日)-和顔愛語-

 皆さん、こんにちは。

過ごしやすい季節となり、今日は、今年度初めて、こうして一堂に会して前期の終業式を迎えることができました。前期を振り返って、皆さんはどんな感想をもっているでしょうか?今日は、通知票も渡されますから、評価の数字だけに一喜一憂するのではなく、学習面における自分の取組状況をしっかり振り返り、後期に生かしてくれることを期待します。

 さて、今日は前期に気になったことから、「和顔愛語(わげんあいご)」ということについて、話をします。

 「和顔愛語」というのは、「和やかな笑顔と、思いやりのある言葉で人に接する」という意味の言葉です。コロナ禍の影響もあるのでしょうか、今年は各方面でSNS等で人を誹謗・中傷してひどく傷つけることからくる事件、トラブルなどが起こっていることもあり、私は、皆さんのことも大変心配しています。

 言葉は、不思議ですね。そして、難しいですね。人を勇気づけたり、傷つけたり、同じ言葉でも、違った意味で受け取られたり・・・・・・。なぜ、そのようなことになるのでしょうか。

 おそらく、言葉を受け取る人には、発せられた言葉に込められたその人の「思い」を受け取ろうとする意識が、自覚のあるなしにかかわらず、働くからなのではないでしょうか。言葉を使う人間の責任として、そのことを知って、言葉には、思いやりの気持ちを込めて大事に使いたいものです。また、言葉を発するときの表情や態度からも人はメッセージを受け取りますから、注意を払いたいものです。

 ところで、人が人生の中で人と出会う確率については、時々話題になりますから、皆さんも聞いたことがあるかと思います。何らかの接点を持つ人と出会う確率は、24万分の1、同じ学校や職場などで出会う確率は、240万分の1、友人と呼べる人と出会う確率は、2千400万分の1、親友と呼べる人と出会う確率は24億分の1 という説です。その説に立つならば、今、皆さんは、この羽生高校で240万分の1の確率で出会いました。それが友人と呼べる人になるのか、親友と呼べる人になるのか、それとも二度と関わりたくない人になるのか、それは、言葉のやりとりを含めたお互いの関わり合いの中で決まってくるのではないでしょうか。

 先日、買った和菓子屋さんの包みに「元気の出る名言」というのが印字してあり、そのとおりだなあと、デスクマットに挟んで今も時々読み返しては元気をもらっているものがあります。私が一番共感を覚えたのは、『トム・ソーヤーの冒険』の著者でもありますマーク・トウェインの「自分を元気づける一番良い方法は、誰か他の人を元気づけてあげることだ」という言葉です。

 人間関係は相互作用、どちらか一方では成り立ちません。人を元気づけ、その人の笑顔を見ることができたとき、人は幸せになり、自分も元気になるのではないでしょうか。そういうやりとりを重ねて、関係は深まっていくのだと思います。羽生高校での出会いをよい関係に育てることができるよう、対面のときはもちろん、SNS上のやりとりにおいても、決して一時の感情で人を傷つけることがないよう心して言葉を使ってほしいと思います。もう一度言います。人間関係は相互作用、人を傷つければ、それはやがて自分を傷つける刃となってかえってきます。「和やかな笑顔がみえるような、思いやりのある言葉」を一人一人が心がけてください。

 最後に一つ、皆さんに紹介します。夏休み明けの放送による全校集会でお知らせした2年生有志による千羽鶴ですが、羽生市役所に飾っていただくことになりました。きっと地域の皆さんをも元気づけ、喜んでいただけるものと思います。 

 明日から後期、今年度の後半戦になります。240万分の1の確率で出会った私たちです。「和顔愛語」でお互いを大事にしながら、元気を分けて、元気をもらって、がんばりましょう。

 

夏季休業明け校長講話(8月25日)

 おはようございます。

 夏休みと同時に、長く続いた梅雨が明け、熱中症アラートが発表されるなど厳しい暑さの続いた24日間でした。感染症対策に加え、熱中症対策もしながらの夏休みとなりましたが、大きな事故等もなく、こうして皆さんと再会できたことを嬉しく思います。

 学校の中では、夏休み中も基礎学力向上補習に参加した生徒達の頑張りや部活動での頑張り、進路実現に向けた頑張りなど多くの皆さんの頑張りを見ることができ、私も元気をもらいました。また、今年は2年生の有志の皆さんが、コロナ鎮静の願いを込めて、千羽鶴をつくってくれました。思いを形にしようと根気強く行動してくれたこと、本当に嬉しく思います。できれば、多くの地域の方にご覧いただきたいと思っていますが、まずは、羽高生の皆さんにお見せしたいと、1階応接室前にかけてありますので、是非見に来てください。力が湧いてきます。一所懸命は何事であれ人を感動させること、羽高生の力というものを改めて思いました。 

 さて、前期締めくくりの時期が始まる今日は、「好きこそものの上手なれ」ということについて、話をします。

 今年は、皆さんと同じ高校生の各方面での頑張りと活躍が爽やかな風を運んでくれたように感じた夏でした。とりわけ高校生棋士 藤井聡太さん の二冠達成、八段昇段のニュースは一服の清涼剤のように爽やかで、明るい希望を運んでくれました。厳しい対局を驚くような手で制しながら、取材会見では、少しはにかむような表情で静かに語る姿から、純粋に将棋が好きなことが伝わってきて、私は、「好きこそものの上手なれ」という言葉を思い出したのでした。

 藤井聡太さんが広く知られるようになったのは、2016年に史上最年少14歳2ヶ月で四段に昇段、プロ入りを果たすと、そのまま29連勝という公式戦最多連勝記録を樹立した頃からでしょうか。高校に進学するのかどうかも注目されました。

 そんな彼が将棋に出会ったのは、5歳のときだそうです。祖父母によって将棋の手ほどきを受けた彼は、よほど将棋がおもしろかったのでしょう。その秋には祖父が相手では物足りなくなり、入会した地元の将棋教室で渡された500ページにも及ぶルールや定石が書かれた本を、読み書きもできないのに完全に理解・記憶してしまったといいます。

 小学校2年生でプロ棋士の谷川浩二さんに二枚落ちのハンディをもらって指導対局を受けた時には、谷川さんの勝ちが見えたので、谷川さんが引き分けの提案をしたところ、藤井さんが猛烈に泣き出して、師匠がどうなだめても将棋盤から離れなくなってしまい、お母さんが飛んできてやっと収まったというエピソードも語られています。後に藤井さんは、このときのことを「子ども心にまだ勝てるチャンスがあると思っていたのか、泣きだしてしまった。悔しいという気持ちをうまくコントロールできなかった。」と語っています。

 18歳1ヶ月で二冠となった才能ある彼ですが、私はむしろ5歳から一つの好きなことにこだわりをもって集中して続けていることに驚かされます。才能と努力と周囲の環境とが一致して開花したということはあるのでしょうが、好きなことをひたすら突き詰めて続けていくと、一つの財産になるということは誰にでもあるように思います。

 このコロナ禍に好きなことを見つけ、それを続けるには、工夫が必要な場合もあるかもしれません。それでも、私たちは二度とない「今」を生きています。できないことを嘆くよりも、まずは、授業であったり、部活であったり、自分が毎日取り組む目の前にあることに集中して、目標をもってトライしてみるのが「好き」を見つけるきっかけになるかもしれません。「好きこそものの上手なれ」個性になるまで一所懸命に磨いてください。

 最後に、今一度感染防止対策について協力をお願いします。具体的には、担当の先生から話がありますが、連日、全国的な感染拡大の状況が報道されており、日常生活を送る上で感染リスクをゼロにすることもできません。是非、自己管理能力を高め、引き続き感染防止対策徹底の協力をお願いします。

 それから、この後、生徒会長からも話がありますが、10月には勾玉祭が予定されています。例年どおりというわけにはいきませんが、生徒会役員と担当の先生方が知恵を絞ってくれました。今、かけがえのない高校時代を生きる皆さんのパワーを結集して、記憶に残る勾玉祭を創り上げてほしいと願っています。

 季節は「実りの秋」に向かいます。笑顔でがんばりましょう。

 

夏季休業前校長講話(7月31日)

 皆さん、こんにちは。

 3ヶ月にも及んだ臨時休業が明け、分散登校に始まった6月の学校再開から2ヶ月が過ぎ、明日から夏休みになります。

 学校再開にあたり、感染症拡大防止に向けて、私は皆さん一人一人の自覚と協力をお願いしました。そして、保健室の先生から検温やマスクの着用など具合的な御指導もいただきました。不自由な思いもしたでしょうが、こうして無事に夏休みを迎えることができるのは、生徒の皆さんが協力してくれたお陰です。ありがとう。

 そして、今日は皆さんと共に、先生方に対する感謝も伝えたいと思います。

 実は、先生方にとって、今年度が始まった4月からの4ヶ月間は、おそらく皆さんが想像する以上に大きな緊張を伴う長い日々でした。まず、何度も何度も様々な予定を組み直しました。それはまるで苦労して掘った穴を自分で埋めて、また掘るかのような作業でした。そして、本校は単位制の学校です。感染症の状況を慎重に見極めながら新入生の受講指導を終え、やっと今年度の授業が決まったわけですが、急ぎ教科書を注文し、5月に届いた教科書を、先生方が体育館で全校生徒一人一人の受講登録にあわせて仕分けした後、体育館と教室を1階から4階まで何度も何度も往復しながら皆さんの机の上にセットしました。その一方で皆さんが少しでも生活リズムを意識して学習を進めることができるようにと日誌や課題を作成し、そのほか様々な連絡資料と一緒に箱詰めして配送しました。Google Classroomを通じての動画配信やメッセージのやりとりなど、初めてのことにも試行錯誤しながら挑戦してくれました。

 6月になって分散登校から学校が再開しましたが、これまでどおりというわけにはいきません。クラス開きや生徒会行事も十分にできない中で、まずは皆さんの不安を取り除き、安心して登校してもらいたいと、アンケートを通じて休業中の様子を把握したり二者面談を行ったりしながら学校生活をスタートしました。6月の2週目から授業も始まりましたが、例年より遅れた学習を少しでも取り戻せるようにと、指導計画を立て直して準備をし、安全にも配慮して授業を担当しながら、昼間部の生徒の登校から下校まで、また、夜間部の生徒が全員登校するまで、先生方は交代で、昇降口における皆さんの健康観察にも取り組んでくれました。その苦労をわかってくれていたからでしょう。皆さんもよく応えてくれましたね。教室等の消毒作業は、皆さんが下校した後、1日2回、今も毎日行っています。緊張を伴う慣れない仕事が加わりましたが、誰一人愚痴をこぼすでもなく、生徒の皆さんに元気に学校生活を送ってほしい一心で、協力して安全を守ってくださった先生方に、皆さんと共に改めて感謝を伝えたいと思います。先生方、ありがとうございました。

 さあ、明日から夏休みです。とは言え、いつ誰が感染してもおかしくない状況の中で、感染症対策は続きます。猛暑もやってきそうです。自分自身の健康管理はもちろんのこと、「命」を守り、輝かせるために、想像力を駆使した行動をお願いします。

 最後に、題名に惹かれて読んだ、子どもの疑問や悩みに答える形で書かれた本、絵本作家 五味太郎 さんの『じょうぶな頭とかしこい体になるために』のあとがきから、印象に残った文章の一部を紹介して結びといたします。

 

 「自分でやるしかありません。あたりまえすぎる言い方ですが、自分で自分の気の毒を解決してゆくしかないのです。それは大人も子どもも同じです。自分で考え、自分で悩み、自分でしかり、自分をはげまし、そして自分を可愛いがってゆくしかないのです。そのために、けっこうきつい問題でもなんとかこなせる<じょうぶな頭>と、好きは好き、嫌いは嫌いとはっきりわかる<かしこい体>が必要なんだろうと思います。(中略)大人もしっかりしますから、子どももしっかりしてください。」

 

 この本が書かれてから30年後の今、私たちは誰も経験したことのない予測困難なコロナ禍の時代を生きていて、五味さんの言葉がそのままの輝きで、みんな踏ん張れよと背中を押してくれているように感じます。希望に向かって明るい方へ、一人一人が考え、行動し、共感する力と人に親切にする力を持ち寄って、人としてシンカする夏にしましょう。夏休み明けの8月25日、ひとまわり優しく、強くたくましくなった皆さんと会えるのを楽しみにしています。

 

 

学校再開(6月1日・2日)校長講話 ー感謝とお願いー

 皆さん、おはようございます。久しぶりの登校となりました。学校再開にあたり、私からは皆さんに感謝とお願いを伝えたいと思います。

 

 まず伝えたいのは感謝です。

 新型コロナウイルスの感染者が600万人を超える勢いで世界中に拡大し、日本においても全国緊急事態宣言が出される中で、延長に延長を重ね、長期にわたった臨時休業の間、校長として何よりも心配だったのは、皆さんの命、健康です。何はともあれ、本日、皆さんの無事が確認できたこと、元気に再会できたことが何よりの喜びです。皆さん、よく頑張りましたね。元気でいてくれてありがとう。

 

 さて、臨時休業の間、皆さんは何を思い、どんな毎日を送っていたのでしょうか。休みに入ったはじめの頃は、突然訪れた春の長期休みを嬉しく感じた人もいたでしょう。しかし、多くのお店も休業となり、地域の防災無線が外出自粛を呼びかける毎日が続く中で、自分や家族、友人など身近な人が感染するのではないかという不安、学校がいつ始まるのか、進路はどうなるのかなど先が見えない不安、もしかしたら、近い分だけ家族と衝突することがあった人もいるでしょうし、仕事やアルバイトにも影響があった人がいるのではないかと心配しています。また、体を動かすこともままならず、なかなか寝付けなかったり生活リズムを保つのが難しかったり、ストレスに悩まされた人は多かったのではないでしょうか。

 

 同時に、外出自粛の日々は、好むと好まざるとにかかわらず、自分が人や社会とつながっていることを改めて実感することにもなりました。医療従事者の皆さんをはじめ、介護職の方や我々に生活必需品を供給するために毎日お店を開けてくださったスーパーマーケットで働く方々、本校でも皆さんへの課題を届けていただきましたが、配送業の皆さんなど、多くの方の支えがあって私たちの生活は成り立っています。医療従事者への感謝を伝える拍手の輪が広がったり、手に入りにくくなったマスクを手作りして寄付をする中学生や高校生など、心があたたかくなるニュースもありました。私たち教職員にとっては、生徒の皆さんがどうしているかと心配しながら、普段どれだけ皆さんから元気をもらっていたかと改めて思う機会にもなりました。生徒の皆さんにとっては、どうだったでしょうか?

 

 一方で、マスクや除菌スプレーなどが手に入らなくなりました。それを商機ととらえ高額で転売する人が現れました。デマが流れ、トイレットペーパーやティッシュペーパーまで手に入りにくくなったこともありました。トラブルや悲しい事件も起こりました。

 非常事態においては、よい面、悪い面様々に人間の本性が現れます。皆さんには、是非よい面を発揮してくれることを期待します。

 

 次にお願いです。

 今日から学校を再開しますが、残念ながら、新型コロナウイルスは完全に終息したわけでも特効薬が開発されたわけでもありません。感染防止対策を徹底しながら、段階的に通常の学校生活、皆さんの可能性を引き出し、伸ばす教育活動が実施できるようにしていきたいと思います。

 

 学校を再開するにあたり、先生方で教室の机と椅子を1メートルの間隔が取れるように配置しなおしました。消毒作業も終えています。これからも毎日消毒を実施していきます。接触を避けるため階段や廊下には道路のように区域分けをしました。皆さんの登校時には健康確認できるよう体制も整えました。しかし、先生方の努力だけで感染が防止できるわけではありません。皆さん一人一人の自覚と協力が必要です。制約が多くなりますが、皆さんとともに「新しい日常」をつくっていきたいと思います。協力をお願いします。

 

 この後、感染防止に向けて皆さんに徹底してほしいことなどについて、保健室の先生からご指導いただきますが、その前に一つ、皆さんにお伝えしたいことがあります。学校再開を前に、市内の方から「生徒さんを守るために使ってほしい」と匿名で消毒用アルコール10リットルを寄付していただきました。また、近くのコンビニエンスストアの方にも昼食購入に関する格別の御協力をいただけることになりました。地域の方も皆さんを、学校を応援してくださっています。あたたかい応援に応えられるよう、こういうときこそ笑顔で皆で力を合わせて頑張りましょう。

 

 

羽高だより第126号(5月13日発行)ー「ひとりの時間」ー

   羽高生の皆さん、お元気ですか。

 新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、学校も突然の臨時休業とせざるを得なくなってから早くも3ヶ月目に入りました。皆さんの「いい顔」を思い浮かべながら、無事を祈り、再会を心待ちにする毎日を過ごしています。朝、きちんと起きていますか。しっかり食べていますか。課題にも取り組んでいますか。今のところ心配な報告はなく、皆さんの頑張りと協力のお陰と感謝しています。ありがとう。

 この間、3月11日には卒業生37名が堂々とした立派な姿で本校を巣立っていきました。4月8日には清々しい新入生82名も迎え、本校生は237名となりました。また、教職員13名の方が転退職され、新たに14名の方をお迎えしました。異動された先生方からは、皆さんへのメッセージをお預かりしています。学校再開の折には、生徒玄関に掲示しますので楽しみにしていてください。

 さて、3つの密を避け、外出自粛の日々を迎えたことで、逆に私たちは、自分がいかに人や社会とつながり、支えられてきたかに気づかされることになりました。医療関係者の皆様の使命感あふれる奮闘には感謝と敬意を覚えます。「ひとりの時間」が増えたこの機会に、ぜひ皆さんにも社会や政治、経済などにも目を向けてほしいと思っています。「今の自分にできることは何か」「将来の自分はどういうことで人や社会を支えようとするのか」、正しい情報に基づいて、「考える」時間を増やしてくれることを期待します。

 学校再開の暁には、互いの健康と健闘を称えつつ、思索を深めて一回り大きく成長した皆さんに会えるものと楽しみにしています。

 

第50回入学式 -三つのシンカ-

 

    新入生の皆さん、入学おめでとうございます。 

 緊急事態宣言が出され、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化する中、皆さんは自らを律して受検を乗り越え、新たな一歩を踏み出しました。我々は、皆さんを心から歓迎いたします。同時に、皆さんを支えてくださった御家族をはじめとする関係者の皆様にも、心からのお祝いと敬意を表します。

 

 さて、本校は戦後間もない昭和23年に、関係者の教育に寄せる熱い思いによって設立され、今年で73年目を迎える伝統ある高校です。伝統とは、古いものをただ踏襲することではなく、新たな教育、学びへの挑戦を後押しする力になるものと考えます。

 

 新入生の皆さんにも、「友愛、自立、飛翔」を校訓とする本校の伝統を前に進む力として、新たな自分に出会うべく様々なチャレンジをしてほしいと思います。そこで、今日は、充実した高校生活を送るため、心にとめておいてほしい「三つのシンカ」について話をします。

 

 一つ目は、ダーウィンの「進化論」などにいう「進化」です。世界は、日々刻々と変化しています。幕末から明治の激動期に活躍した埼玉の偉人、渋沢栄一は、こんな言葉を残しました。「日々に新たにして、また日に新たなりは面白い。全て形式に流れると精神が乏しくなる。何でも日に新たの心掛けが肝要である」。高校生活においても同じ時は二度とありません。変化を恐れず、気持ちは常に新鮮に、前向きに、困難と思える時こそチャンスと捉え、しなやかに進化する気概をもって行動してください。

 

 二つ目は、「深める」の「深化」です。まずは、目の前のことに、素直に真剣に取り組んでみてください。時には、うまくいかないこともあるでしょう。しかし、「失敗」のまま投げ出さず、「どうしたらいいか」方法を考えて、またやってみる。試行錯誤を続けていくと、次第に自分の興味、関心の方向が見えてきます。そうしたら、それを徹底して深めてみる。やがて、それが皆さんの武器になります。個性になります。

 

 三つ目、「真の価値」の「真価」です。物事を冷静に見極め、人のためになる誠実な正しい選択ができるかどうか、そこに人としての真価、「学び」の真価が表れます。今、自分にできることは何か。人と社会を幸せにする選択と行動を期待します。

 

 結びに、本日入学された皆さんと学校生活を再開できるのは、残念ながら5月7日からの予定です。すべての活動は命あってこそのもの、今はがまんの時です。一人一人に自分の命、家族、友人の命、そして、社会を守る行動をお願いし、式辞といたします。

 

令和2年4月8日

                       埼玉県立羽生高等学校長 鈴木 久

 

第50回卒業証書授与式 式辞 - 前へ! -

 

春です。

卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。

 

予想だにしなかった新型コロナウイルスの影響により、学校は、臨時休業を余儀なくされました。皆さんの卒業を誰よりも喜び、門出を共に祝福するはずの保護者の皆様をはじめ、在校生の参加も叶わない卒業式をどうするのか。先生方皆で悩み、やり場のない怒りやつらい気持ちをのみ込んで、精一杯、卒業生の心に残る卒業式を挙行しようと決めました。

 

当たり前の日常が当たり前でないことに気づかされることが、人生には時々起こります。「令和元年東日本台風」と命名された台風十九号は、昨年十月のことでした。九年前の今日、多くの命が犠牲になり、今なお避難生活を送る方がいらっしゃる「東日本大震災」は、忘れることができません。

 

しかし、人間は、どんな困難の中にあっても希望を見出し、自分事として知恵を寄せ合い、前へと進む力をもっています。

 

六歳で始まった皆さんの学校生活は、決して順風満帆ではなかったかもしれません。高校に入学したときも、不安のほうが大きかった人がたくさんいるのではないでしょうか。それでも皆さんは、校訓の「友愛・自立・飛翔」を体現し、一歩ずつ前へと進んできました。そんな皆さんが誇るべき高校生活の宝は、たとえば、問題と格闘した軌跡を残す汚れたノートにあり、膝が薄くなったジャージにあります。なぜなら、それこそが皆さんの努力の結晶だから。そして、先生や友人、先輩、後輩たちとのやりとりの一つ一つの場面をとおして、皆さんは確かに成長し、素敵な大人になりました。

 

今、飛翔の時です。

 

これからの世界は、変化が激しく、予測不能な世界になるだろうと言われています。

しかし、恐れることはありません。私たち羽高の教職員は知っています。皆さんが、様々な葛藤を乗り越えて、自己と他者の個性を穏やかに受け容れ、協働、共生できる豊かな人間性と共感力を備えた人に成長したことを。そして、そういう人こそが、これからの時代に求められていることを。新しい価値を産み出す力になることを。

 

さあ、前へ!

感謝を忘れず、勇気と誇りをもって歩みを進めてください。皆さんの未来に幸あれと祈ります。卒業おめでとう。

 

 

令和二年三月十一日

              埼玉県立羽生高等学校長 鈴木 久代  

 

冬季休業明け全校集会校長講話 ー目標をもってトライ!ー

 明けましておめでとうございます。

 皆さんは、今年一年をどんな年にするか、目標を立てたでしょうか。年の初めの全校集会にあたり、目標を立てることについて話をしたいと思います。

 年末に教育相談部の先生から、今年の目標・楽しみにしていることを教育相談だよりに掲載したいので教えてくださいと言われ、私はささやかな2つのことをあげました。一つはバラをきれいに咲かせること、もう一つは筋力アップです。

 我が家は堀に囲まれた角地にあるのですが、堀と土地との境には、緑色のフェンスが張り巡らされており、味気ないなあと思っていました。あるとき、もう20年以上前になりますが、教え子の縁で参加したガーデニングフェスタでつるバラの一種である真っ白な一重の花と緑の葉のコントラストが美しいナニワバラの苗をみつけ、フェンスのそばに植えました。

 毎年少しずつフェンスに沿うように手入れをしながら大きく育て、今では毎年ゴールデンウィークの頃になるとフェンス一面に真っ白な花が覆うようになりました。近所の方も楽しみにしてくださっていて、私が草取りや花柄摘みをしていると知らない方まで「きれいですね」とか「何という花ですか」などと声をかけてくださいます。ありがたいことです。

 ところが、昨年、花が咲いた後、古い枝がいよいよ枯れて茶色の葉っぱが目立つようになったのです。フェンスに絡めてあることもあり、とげのあるバラの枝切りはなかなか大変で、夏から秋にかけて、時間があれば、のこぎりとはさみを使って格闘し、やっとの思いで古い枝を整理しました。どうなることかと心配しましたが、幸い若い枝が出てきたので、再度フェンス仕立てにして、肥料をやり、今またやっと新芽ができはじめています。 世代交代の時期を迎えたのだと思い、大げさかもしれませんが、「命をつなぐ」使命感のようなものに駆られ、今年も近所の方にも楽しんでいただけるように、きれいに咲かせることを目標に頑張っています。

 もう一つの目標の筋力アップは、健康のためですが、教育相談室だよりに書いたからには、生徒の皆さんに嘘はつけないと、この冬休みにはスクワットや腹筋などの筋トレと合わせて5キロ前後の散歩も始めました。今年の翔羽祭では、昨年以上にしっかり走れるよう引き続き頑張りたいと思います。

 私事が長くなりましたが、私は、目標を立てることは、考える力を育て、行動を変える力になると考えています。

 皆さんも、競泳の瀬戸大也選手のことは知っていると思います。埼玉県毛呂山町出身で、昨年7月の世界選手権では200メートル、400メートル個人メドレーを制し、今年開催される東京オリンピックでも活躍が期待されています。

スポーツ選手ですから目標を立てるのは当然と言えば当然ですが、小学5年生から彼を指導してきたコーチによれば、彼は子どものときから「自分で考える」才能をもっていたと言います。レース後、感想や気づいた課題について聞いても口ごもる選手が多い中、瀬戸選手は「一生懸命何かを伝えようと頭をひねっていた」と言います。ベストタイムを出しても慢心することなく、すぐに次の目標を設定し、「まだこれくらいは出せそうです」と真剣な目で言う。そして目標を達成するための方法を考え、実践することを繰り返し、時には挫折を経験し、それでも諦めず目標を更新しながらここまでやってきたそうです。目標をもつことは、その実現に向けてどうしたらいいのか考える力を育てます。考えるから行動が変わります。

 昨年の4月以来、今年度の合い言葉として「トライ」と皆さんに言い続けてきました。今年度も残すところ3ヶ月、締めくくりの時期を迎え、一つ上のステージに上りましょう。「目標をもってトライ!」一人一人が自分の足元をしっかり見つめこの一年の具体的な目標を立てましょう。実現するための方法やスケジュールを考えましょう。そして、行動に移しましょう。

 皆さんの新たなトライに期待します。私も頑張ります。

 

冬季休業前全校集会校長講話ー「これからが、これまでを決める」ー

 こんにちは。

 早いもので今年も残すところ一週間あまりとなり、新聞各紙にも読者が選ぶ日本10大ニュースが相次いで掲載されました。令和への改元、ラグビーW杯日本大会開幕と日本チームの活躍、京アニ事件、消費税率10%のスタート、台風19号による東日本の大雨被害などがあげられていましたが、振り返ればいいこと、悪いこと、今年も様々な出来事がありました。

 皆さん一人一人にはどんな一年だったでしょうか。頑張りが実って成功したこと、成長が実感できたことなどよかったと思えることもあったでしょうし、逆に失敗やうまくいかなかったこともあったでしょう。もしかしたら、今も自分が望まない状況に苦しんでいる人がいるかもしれません。

 令和元年の締めくくりの時を迎えた今日は、「これからが、これまでを決める」という言葉を紹介したいと思います。これは、親鸞の教えを学んだ藤代聰麿(ふじしろ としまろ)氏の言葉です。

 さて、今年の秋は県内多くの高校で周年行事が行われ、私もいくつかの学校の記念式典に参列する機会がありました。各校それぞれにその学校らしい独自性のある式典、続くアトラクションと素晴らしい時間を共有する機会をいただいたわけですが、ある定時制高校で行われた卒業生によるパネルディスカッションの中で一人の卒業生が語った話には、特に深い感銘を受けました。そして、「これからが、これまでを決める」という言葉を思い出したのです。

 パネラーとして登壇した同窓生の紹介によれば、その方は間もなく30歳、ある企業の第一線で活躍し、多くの著名人とも交流されているとのことです。高校は夜間部に在籍していたそうですが、当時の夜間部は、パネラーの言葉を借りれば、いわゆるヤンキーが多く、保護者の考え方から小学校にも中学校にも通わせてもらえなかった人もいたそうで、様々なバックボーンをもつ人たちの個性がひしめきあっていたとのことです。

 その方も例外ではありません。幼い頃から父親の母親に対するDVに悩んでいたと語ってくれました。自分は何で生まれてきたのかと自分の存在価値を認めることができず、オーバードーズ、薬の過剰摂取ですね。そういうことをしてしまうほど自分の命を大事にすることができなかったと言います。しかし、教養を身につけたいと高校に入学し学ぶ中で友人と出会い、教師と出会い、未来を考えられるようになったとき、生きて今ある命への感謝とともに、なぜかDVの記憶しかないような父親に対する感謝の気持ちが湧いてきたそうです。

 それから彼は変わりました。感謝がベースになっていますから自分を含めて、人と、そこで結ばれる縁というものを大事にするようになり、挨拶は必ず自分から、様々な出来事の意味を考え、どうしたらそれを活かすことができるか、プラスに転じることができるか考えるようになったと言います。そんな方が、社会人になった今、多くの方に愛され活躍しているのは合点がいくことでしょう。

 「これからが、これまでを決める」これからの生き方が過去の出来事の意味を決める。変えることも、消すこともできない過去のつらい現実も、これからの生き方次第でその意味は大きく変えることができるのです。大切なのは、これからどう生きていこうとするのかです。

 年の終わりに、心静かに過去を見つめ直してみてください。もし今も過去のつらい記憶に苦しんでいる人がいるならば、その呪縛から解き放つことができるのは今のあなた自身しかありません。決意をもって未来に続く明るい方へ新たな一歩を踏み出すことを願っています。いい年を迎えましょう。

 

翔羽祭あいさつ ー最高のチームパフォーマンスをー

 おはようございます。

 皆さん、空を見上げてみてください。今日は朝から秋晴れ、素晴らしいスポーツ日和となりました。

 さて、翔羽祭は、その目的に合わせて、チーム競技とロードレースからなっています。今日はこれまでの体育の授業と高校生活をとおして培ってきたものを十分発揮する一日にしてもらいたいと思います。

 ロードレースは、自分との闘いです。長い距離を走る間は、自分と対話することになるでしょう。自分の心と体の声に耳を傾けながら最後まで負けずに頑張ってください。

 そして、チーム競技です。「チーム」と同じように「集団」を表す言葉に「グループ」がありますが、スポーツにおいてグループ競技とは言いません。チームとグループはどう違うのか、皆さんは考えたことがあるでしょうか?

 ある辞書によれば、「グループ」は人々の集まり、「チーム」は共同で仕事をする人々の集まりと書かれています。違いがわかりますか?よく言われるのは、「グループ」は足し算、「チーム」はかけ算ということです。人が集まれば、「グループ」を作ることは比較的容易にできます。しかし、そのままでは「チーム」にはなりません。

 人にはそれぞれの個性があります。ある目的のために集まった多様な人材が、互いの長所を活かし合い、不足を補い合う働きをすることによって相乗効果を生み出すことができて初めて、集団はチームになります。そのために必要なのは、十分なコミュニケーションです。今日は、皆さん一人一人がチームの一員として、自分がチームのために何ができるか考え、積極的にコミュニケーションをとって最高のチームパフォーマンスを発揮してくれることを期待します。

 青空を突き抜けるくらい若いエネルギーを躍動させ、思い切りとびはねて、最高の一日にしましょう。

第51回勾玉祭ー〝和〞を結集し、創造性豊かな文化祭をー

「集ま〝令〞!!友情の〝和〞(輪)!!勾玉祭」をテーマとして、第51回勾玉祭(文化祭)が開催されます。学校文化、伝統というものは、生徒から生徒に引き継がれるようになって初めて本物になるといいますが、「令和」の文字を取り入れたテーマを冠した文化祭をとおして、羽高生が発信しようとするもの、引き継ごうとするものは何でしょうか。

 日本最古の歌集である『万葉集』梅花の歌三十二首の序文を典拠とする「令和」という新元号は、「人々が美しく心を寄せあうなかで文化が生まれ育つ」という意味があり、「一人一人が明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができるように」という願いを込めて、決定されたということです。

 生徒会を中心に、夏休み前から準備を進めてきた勾玉祭です。新時代の幕開けにふさわしく〝和〞を結集し、創造性豊かな文化祭になることを期待します。そして、願わくは、『万葉集』で「梅を愛でながら旅人が宴を楽しんだ」ように、ご来場いただいた皆様にも、羽高生が心を寄せあい、創造する勾玉祭を楽しんでいただけますように。そして、〝和〞(輪)が広がりますように。

避難訓練校長講話

 皆さん、こんにちは。

 はじめに、本日の避難訓練でご指導いただく5名の方を紹介します。羽生市消防本部羽生市消防署の署員の皆様におかれましては、お忙しい中、本校生徒のためにお時間を割いていただき、ありがとうございます。この後、ご講評もいただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 本日は、地震発生を想定しての避難訓練を行いました。小学生の頃から学んだ「お・か・し・も」を守って、しっかり行動できたでしょうか。この後、代表生徒には起震車体験をしてもらいます。体験したことを周囲の人にしっかり伝えてください。

 

 今から8年前、2011311日に発生した東日本大震災は未曾有の被害をもたらしました。その頃からでしょうか、「天災は忘れた頃にやってくる」と言われたことは、はるか昔の感があります。今週末も台風19号が警戒されるところですが、先月発生した台風15号による千葉県の被害は現在進行形で避難生活を送っていらっしゃる方がいます。8月の終わりには九州北部豪雨もありました。昨年の西日本豪雨や北海道胆振東部地震も記憶に新しいところです。 災害により亡くなられた方の御冥福を祈るとともに、被災地の一日も早い復旧、復興を祈りたいと思います。

 

 さて、災害が発生したとき、適切な避難行動をとることができたかどうかが生死を分けると言われています。避難行動をとる間もなく、命を落とされた方もいますが、人間は予期しない危険が迫ってくると、心が過剰に反応して疲弊しないために、「自分は大丈夫だろう」と考えるような「正常性バイアス」が働くといわれています。バイアスというのは偏見という意味です。災害で亡くなられた方の中には正常性バイアスが働いた結果、適切な避難行動をとることができなかった方も少なくないのではないかと思います。

どんな災害でも重要なのは、適切な避難行動をとれるかどうかということです。自分の命を守る行動、先生達には生徒の命と自分の命を守る行動が適切にできるかどうかが生死を分けます。学校で行う避難訓練はそのための訓練です。いつ災害が起きても危険をしっかり察知し、冷静な行動ができるように意識して、今日の避難訓練を生かしてもらいたいと思います。

前期終業式校長講話「人生の題名」

 皆さん、こんにちは。

 早くも今年度の折り返し地点を迎えました。折しもラグビーワールドカップの最中ですが、土曜日のアイルランド戦は観ましたか。特に後半戦の集中が素晴らしかったですね。日曜日の新聞に、ジョセフ・ヘッドコーチが試合当日の朝、選手たちにかけた言葉が紹介されていました。「誰も勝てるとは信じていない。でも俺たちがやってきたことは誰も知らない。自分たちを信じて戦おう。」過酷ともいえる練習にどれだけ取り組んできたのだろうと思わされました。また、自分でやったことからしか力も自信も生まれないことを改めて思いました。

 ラグビーを意識したわけではありませんが、4月の始業式と入学式で、私は皆さんに「TRY!」を呼びかけました。皆さんの「TRY」は何でしたか。この半年間を振り返って、どんな感想をもっているでしょうか。思い切ってトライしてみたことで新しい自分を発見できた人、トライしてみたけれどまだなかなかいい結果につながっていない人、様々かと思いますが、私には、この半年間で皆さんに感動を覚える場面がいくつもありました。前期の締めくくりに「ありがとう」を伝えたいと思います。

 

 出会いの4月、笑顔で、あるいは恥ずかしそうに挨拶をしてくれた皆さんに。自分の国の挨拶を教えてくれたあなたに。

 5月、それは夜間部の生徒が登校してくるのを昇降口で迎えていた時たまたま見かけたことです。今にも死にかけている玉虫をみつけ踏まれないよう手に包み、木の根元にそっと移してくれていたあなたに。

 6月、本校生が失敗して近隣の方にご迷惑をおかけした時のこと、謝罪に伺った私に、その方は、「自分が何かしたわけではないのに『羽生高校の生徒がご迷惑をおかけしてすみません』と謝ってくれた生徒さんもいるんですよ。」と伝えてくださいました。誰かはわからないけれど、きっとこの中にいるあなたに。

 7月、学校評価懇話会に生徒代表として参加した生徒会の皆さんが、談話室の使い方について意見を述べ、「生徒会としてもできることを考えます。」と頼もしい発言をしてくれたことに。その後、対策は進んでいますか。

 8月、部活動の全国大会に出場した皆さんの健闘ぶりには震えました。

 9月、生徒生活体験発表会で、自分が見つけた羽生高校で学ぶ意味を発表してくれたあなたに。感性豊かに心の中を見つめ、羽生高校で自分の世界を広げているあなたに。また、行田で行われたミュージックデイズでバンド演奏を披露してくれたメンバーたちに。際立つ個性が化学反応を起こしているようで本当に楽しかった。そして、授業で皆さんが学び合いをしている様子に。協調学習の研究授業を見て、羽高生はまだまだやれる。そう感じています。

 

 さて、明日から後期を迎えるにあたって、少し話をします。

 夏の終わりに電車に乗ったときのことです。塾の広告かと思いますが、中学校の入試問題が掲載されていて考えさせられました。小川洋子さんの短編集『海』の中から、文章が引用され、文言は少し違うかもしれませんが、こんな問題がありました。

「あなたの今までの人生に題名をつけるとしたら、何とつけますか。また、その理由を30字から40字で述べなさい」

 皆さんならどんな題名をつけますか。結構難しいのではないでしょうか。私のように長く生きていると、それぞれのライフステージに小見出しをつけていかないとならないくらいの変化がありますから、これはかなりの難問で、どうやらこの中学校には合格できそうにないなと苦笑いもしたわけですが、面白い問題だと思いました。正解があるわけではなく、今、盛んに言われているところの「思考力・判断力・表現力」を問う問題だったからです。この問題に取り組む小学生の多くは、自分が頑張ってきたことや将来の夢を思いながら、題名をつけ、なぜその題名なのか、採点者を納得させられるように理由を述べるのでしょう。

 それから、人生に題名をつけるという発想も面白いと思い短編集も読んでみました。考えてみれば人生は一続きの物語です。過去は今につながり、今をどう生きるかが未来をつくる。過去を振り返ることは、今をみつめ未来を考えることにもなります。そして人生にたった一つの正解というものはありません。

 今、皆さんは、社会のここを生きていて、高校生という可能性に満ちたステージに立っています。これからの自分の物語をどのように綴っていくのか、それは皆さん一人一人の壮大な夢のある仕事です。

 

 明日から後期、今年度の後半戦です。

 是非、なりたい自分に向かって題名をつけるつもりで、テーマを持って今目の前にあることに集中して取り組んでみてください。まずは20日後に迫った文化祭がありますね。今年のテーマは「集ま〝令〞!!友情の〝和〞(輪)!!勾玉祭」に決定したということですが、一人一人がテーマの実現を目指して、文化祭に積極的に参加することを期待します。後期も引き続き合言葉は「TRY!」、がんばりましょう。

夏季休業明け全校集会校長講話 「トイレの神様」


 おはようございます。

44日間の夏休みが終わり、今日からまた学校生活が始まります。大きな事故等もなく、こうして皆さんと再会できたことを嬉しく思います。

先ほど全国大会で活躍した生徒からの報告、表彰がありましたが、そのほかにも部活動での頑張りや生徒会の皆さんの勾玉祭に向けた集中準備、基礎学力向上補習に取り組んだ人、学校説明会や夏季公開講座で手伝いをしてくれた人、進路実現に向けた会社訪問やオープンキャンパスへの参加、就労体験、アルバイトの頑張りなど、多くの皆さんの頑張りを聞いています。夏休み前の全校集会で話した「()真剣」な夏をそれぞれに過ごしてくれたことを嬉しく思います。

 

さて、今日は「トイレの神様」について、話をします。皆さんにも協力をお願いした東側トイレの改修工事が終わりました。一階男子トイレの入口扉について、もう少し不便をかけますが、間もなく完了となります。どうですか?今日、登校してから行ってみましたか?本当にきれいに生まれ変わりました。ピカピカで気持ちがいいですね。使うのがもったいないくらいです。その気持ちとともに、私は『トイレの神様』という歌を思い出しました。皆さんも聴いたことがあるのではないでしょうか?

 

今から9年前の2010年、植村花菜さんというシンガーソングライターによる楽曲です。952秒にも及ぶ長い歌でしたが、FM局で流れると一気に評判となり、その年のレコード大賞優秀作品賞や作詞賞も受賞、絵本やドラマにもなりました。植村さんの実体験から生まれた曲だそうで、あたたかい家庭に恵まれず小3の頃から自分を育ててくれたおばあちゃんの思い出やおばあちゃんの死が歌われています。その中に、トイレ掃除が苦手な幼い頃の植村さんにおばあちゃんが教えてくれたことが繰り返し歌われる歌詞になりました。

「トイレには、それはそれはキレイな女神様がいるんやで。だから毎日キレイにしたら、女神様みたいにべっぴんさんになれるんやで」 

おばあちゃんの言葉によって、小さかった植村さんは、べっぴんさんになるため、夢だった気立てのいいお嫁さんになるため一生懸命掃除をするようになったと歌います。

 

おばあちゃんの言葉には、日本古来の「八百万の神」の考え方が反映されているようです。「八百万」とは「数えきれないくらいたくさん」の意味で『古事記』や『日本書紀』にも記載されています。もともと、四季の移りかわりに敏感に反応しながら生活してきた日本民族は、農耕民族として太陽や雨などをはじめ、自然の恵みが何よりも大切なものでした。自然界に起こる様々な現象、天変地異、それを神様の仕業として畏れ、敬ったことに信仰の始まりがあります。川や海、森、土地はもちろん、家の中にもたくさんの神様がいて守ってくれていると信じて、台所には「火の神様」や「水の神様」、トイレ(昔は便所、憚り、厠、そのほか汚れた場所の意味から御不浄とも言われていました)にはトイレの神様がいて、おばあちゃんの言う、トイレの汚れを清めてくれる美人の女神は、一説によれば波邇夜須比売(はにやすびめ)と弥都波能売(みづはのめ)を指していると言われています。こうした「八百万の神」の考え方には、自然や場所、物を大切にしてきた人々の感謝の気持ちが込められているように思います。

 

トイレ掃除によって会社を立て直したイローハットの創業者、鍵山秀三郎(かぎやまひでさぶろう)さんが書いた『掃除道』という本もベストセラーになりました。彼が素手でトイレ掃除をする意味は、人の心の荒みを何としてでも減らしたいからとのこと。人の心を落ち着かせ、穏やかにするには掃除をしてきれいにすることが最も効果的であると掃除に取り組む意味が書かれています。

 

古い便器を取り外すところから始まった工事ですが、工事に携わった多くの方々のお陰で、今日から美人の女神様がいるといわれる新しいトイレを使うことができます。どうか感謝の気持ちを忘れず、大切に使い、掃除をし、皆さんが心穏やかに、「いい顔」で、それぞれに「実りの秋」を迎えてくれることを期待します。がんばりましょう。

 

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